Avenirとは?
Avenir(アベニール)は、FrutigerやUniversなどの定番書体を制作したスイスの書体デザイナーAdrian Frutigerさんによるモダンなサンセリフ書体。
デザインはFuturaとFrutigerを足して2で割ったようなイメージで、FuturaやAvant Garde Gothicのような幾何学的(ジオメトリック)なコンセプトがありつつも、スタイリッシュさや人間味の味わいも感じられる見やすさと美しさの両方を兼ね備えた書体です。
現在は鶴マークが復活したJALのロゴですが、以前のアーク形状のロゴにはAvenirが使われていました。
イタリック体が追加された改刻版Avenir Next
これだけスタイリッシュなイメージなのに、Avenirがリリースされたのは意外にも1988年。その後2003年にはMonotypeの小林 章さんがAdrian Frutigerさんと共に改刻版であるAvenir Nextをリリースしました。
Avenir Nextでは細かいデザイン調整が施されました。また傾き具合が不自然なオブリーク体しかありませんでしたが、イタリック体として改良されました。
またAvenirではウエイト(太さ)は6種類でしたが、Avenir Nextでは年々増え続け、2023年現在で10種類にまで増えました。さらにコンデンス体 (Avenir Condensed) やラウンド体 (Avenir Rounded) もラインアップされ、バリアブルフォント版のAvenir Next Variableもリリースされています。
Avenir Next / Avenir Next Condensedのファミリー
- Ultra Light / Ultra Light Italic
- Thin / Thin Italic
- Light / Light Italic
- Regular / Italic
- Medium / Medium Italic
- Demi / Demi Italic
- Bold / Bold Italic
- Heavy / Heavy Italic
- ExtraBold / ExtraBold Italic
- Black / Black Italic
Avenir Next Roundedのファミリー
- Regular / Italic
- Medium / Medium Italic
- Demi / Demi Italic
- Bold / Bold Italic
マイナーな言語にも対応した Avenir Next World
さらに2021年にはキリル文字やギリシャ文字、アラビア文字など多言語に対応したAvenir Next Worldもリリースされました。マイナーな言語にも対応する場合は、Avenir Next Worldをおすすめします。2023年時点でWorldのほうにはコンデンス体やラウンド体はありません。
Avenirの和文書体「Shorai Sans」
2022年にはAvenirの造形的要素を持つ日本語書体「Shorai Sans」がリリースされ話題を呼びました。制作にはナールやゴナなどの書体デザイナーである中村 征宏さんを迎え、Monotypeの小林 章さん、土井 遼太さんの3者で開発されました。Avenir Nextと同じ10種類のウエイト(太さ)で展開、デザイナーが和欧混植しやすいフォントとなっています。Avenir Next同様にバリアブルフォント版のShorai Sansもリリースされています。
Shorai Sans 特設サイト
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Avenir (Avenir Next) を使うには?
実はmacOSやiOSにはAvenir、Avenir Nextの両方が標準搭載されています。しかしながら太さはThin / Light / ExtraBlack / Blackが欠けた6種類のみとなっているため、10種類すべてのウエイト(太さ)を使いたい場合は、別途購入やサブスクリプションの契約をする必要があります。また旧版のAvenirは現在も購入・利用可能となっていますが、今から使うのであれば断然Avenir Nextをおすすめします。
macOS・iOSに搭載のAvenir Next
- Ultra Light / Ultra Light Italic
- Regular / Italic
- Medium / Medium Italic
- Demi (Bold) / Demi (Bold) Italic
- Bold / Bold Italic
- Heavy / Heavy Italic
MyFontsで「Avenir Next Variable」を購入する
Adrian Frutiger – Typefaces: Complete Works
さらに詳しくAdrian Frutigerさんについて知りたい方は、こちらの本がおすすめです。
初稿:2008.9.23