DINとは?
Deutsches Institut für Normung (German Industrial Standard)、つまりドイツ工業規格の書体です。ドイツの高速道路などの道路標識や街中の看板のような工業製品などに使われています。
いかにも無機質で幾何学的(ジオメトリック)なデザインですが、その特徴を逆手に取り、1990年〜2000年初頭ぐらい(うろ覚え)から一般的なグラフィックデザインでも使われるようになりました。今では定番中の定番書体として幅広く使われています。
ドイツ・ベルリン旅行で撮影した街中のDIN
DINを使うには?
DINという名前のフォントはたくさんあり、様々なフォントブランドがリリースしているため、どれを使えばいいのか迷ってしまうのではないでしょうか。
Adobe Fontsで使えるDINは誰もが使いやすいという点では広く使われそうではありますが、結論から言うとオリジナルのデザインに近いFF DINかDIN Nextのどちらかがおすすめです。FF DINは購入をする必要がありますが、DIN NextはMonotype LETSで利用することができます。
FF DIN
DINがちゃんとしたフォントファミリーとして1995年にリリースされたのがFontFontブランドのFF DINで、Albert-Jan Poolさんが制作。日本でもデザイナーの間で流行りだした頃によく使われたのはFF DINではないでしょうか。
後述のDIN Nextと覇権を争うかのようにバリエーションが増え続け、全部で7種類のウエイト(太さ)でコンデンス体も展開。5種類のウエイト(太さ)のラウンド体FF DIN Roundや、ステンシル体のFF DIN Stencil、バリアブルフォント版のFF DIN Variableもリリースされています。
DIN Next
Monotypeの小林 章さんがLinotype時代に改刻をしたのがDIN Nextです。FF DINと同様に全部で7種類のウエイト(太さ)で、コンデンス体も展開。OpenTypeフォント機能により、数字の1,6,7,9,0、大文字のC,G,Z、小文字のa,qには2種類のデザインを切り替えることができます。
FF DIN同様に4種類のウエイト(太さ)のラウンド体DIN Next Roundや、ステンシル体のDIN Next Stencilもリリース。小林 章さんの知名度もあり、日本ではDIN Nextを使っている方も多いのではないでしょうか。
DIN 2014
Adobe Fontsで利用できるParatypeブランドのDIN。全部で6種類のウエイト(太さ)でコンデンス体も展開していますが、オリジナルのDINのデザインとはちょっとかけ離れている印象。
URW DIN
こちらもAdobe Fontsで利用できるURWブランドのDIN。全部で8種類のウエイト(太さ)で幅の異なるコンデンス体も展開していますが、やはりオリジナルのDINのデザインとはちょっとかけ離れている印象。
PF DIN
ギリシャのフォントファウンダリーParachute製のDIN。DINの流行に伴う需要にこたえるため、等幅のDIN Monospaceや、ステンシルデザインのDIN Stencil、アラビア語版のDIN Arabicなど、様々なDINを販売しています。
DIN 1451
私がDINの存在を知って、初めて購入したDINフォントはDIN 1451 (MittelSchrift / EngSchrift) 。ウエイト(太さ)バリエーションは無く、通常のMittelSchriftと、コンデンス体のEngSchriftのみ。
初稿:2009.3.13