Webフォントが一般に広まった全盛期には国内外含め様々なWebフォント配信サービスが登場しましたが、まさに戦国時代そのもので、数年後には多くのサービスが終了となってしまいました。
2023年現在、利用されているWebフォントサービスをまとめてみました。
Google Fonts
完全無料で誰でも利用可能ということもあり、現在一番利用されているGoogle Fonts。定番のNoto Sans以外にも、ZEN 角ゴシックやBIZ UDゴシックなど、プロ仕様の日本語フォントも使えます。デスクトップ用のフォントもダウンロード可。
Adobe Fonts
Adobe Creative Cloud契約者なら誰でも使えるAdobeのフォントサービス。かつてはTypekitの名でサービス展開されていました。完全に日本語化され昔に比べるととても使いやすくなりました。デスクトップ用のフォントもダウンロード可。
FONTPLUS(フォントプラス)
主にフォントワークス、イワタ、MOTOYAなどのLETS連合のサービスで、Monotypeのフォントも利用可能。字詰めや混植などWebタイポグラフィの可能性を追求し、様々な付加機能を提供しています。Monotypeに買収された今後の展開が気になるところです。
TypeSquare (タイプスクウェア)
モリサワのWebフォント(クラウドフォント)サービスで、自社グループのモリサワ、タイプバンク、字游工房などのフォントが利用できます。
REALTYPE(リアルタイプ)
タイププロジェクトやスキルインフォーメションズなど様々なメーカーや個人の書体デザイナーのフォントをWebフォントとして利用できます。料金プランは定額制、従量制を選ぶことができます。
DynaFont Online
デザインの種類が豊富なダイナフォント独自のWebフォントサービスです。
Fonts.com
Monotypeによるフォントサービス。膨大なライブラリの欧文フォントが利用できるほか、たづがね角ゴシックやShorai Sans、一部のダイナフォントなどの日本語フォントも利用できます。日本語フォントの場合、配信が少々不安定なのがネック。
MyFonts
Webフォント配信サービスではありませんが、気軽に買い取り型(セルフホスティング)のWebフォントを購入できる点で利用者が多いです。
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Webフォントを使う際におさえておきたい5つのポイント
1. 極細・極太のウエイトはつぶれに注意
年々ブラウザのレンダリングやディスプレイは進化しているものの、古いパソコンだとウルトラライトのような極細フォントは、かすれてしまって読みづらくなってしまいます。逆に極太フォントは潰れてしまって見づらい可能性も。本文ならRegularが最適。極細・極太のウエイトを使うなら、できるだけ大きいフォントサイズで。
一般的にデザイナーが使うディスプレイは最高性能であることが多いため、一般層が使う環境への配慮が必要です。
2. Webフォントを使いすぎない
ページに使われる文字のフォントを生成するダイナミック・サブセット技術が一般的になっているとはいえ、いくつもの種類やウエイト(太さ)を読み込みすぎると、必然的にページが重くなってしまいます。特にグラフィックデザイナーのデザインは読み込むべきWebフォントが多すぎる印象なので、事前に使うWebフォントを設計するようにしましょう。またスピードが重要視されるサイトでは、必要最低限見出しのみにする、もしくは敢えて使わないという決断も必要です。
3. 必ず利用者のライセンスを確認
Webフォントサービスを利用する際は、デザイナーなどの個人の制作者ではなく、クライアントや代理店の名義で契約をするようにしましょう。特にAdobe Fontsの場合、Creative Cloudは制作者自身のアカウントであることが多いので注意が必要です。クライアントのAdobeのアカウント(Adobe Fontsが利用できるプランに契約済)でWebフォントの配信コードを発行してもらう必要があります。
4. 突然指定したフォントが使えなくなることを想定しておく
様々なブランドのフォントを配信しているWebフォントサービスに多いですが、契約切れにより、ある日突然表示ができなくなってしまうことがあります。事前にその可能性についてクライントに伝えておくのがベストですが、万一そうなった場合、Webフォントが読み込まれなくても正常に表示できるようフォールバック処理を忘れないようにしましょう。
5. Noto Sansに頼りすぎない
完全無料で利用がしやすいGoogle Fontsの広まりにより、とりあえずNoto Sansを使っているサイトが溢れかえっています。無料で使えるWebフォントには他にもたくさんの選択肢があるので、一辺倒にならないよう検討をしてみましょう。
初稿:2012.2.20