Typography(タイポグラフィ) — フォント・書体・タイポグラフィのジャーナル誌

info過去に運営していたフォントブログの記事を再編集して公開をしています。

文字を楽しむデザインジャーナル誌として2012年に創刊された「Typography(タイポグラフィ)」誌。

編集長の宮後優子さんは、デザインの現場(デザ現)の元編集長で、デザイナー向けのフォントや書体の情報を発信されており、東京・表参道の青山ブックセンターではTypeTalksというセミナーも主催していました。現在はBook & Designで本やデザインの編集、イベントの開催を行っています。

これまでフォントや書体、タイポグラフィの雑誌や特集と言うと、専門的で理解が難しい内容のものが多かったのですが、創刊号「フォントをつくろう!」特集から始まり、プロアマ問わずデザイナーはもちろん、一般の方でも楽しめる親しみやすいフォントの内容で話題を呼びました。

私自身も創刊号から5号までウェブフォントに関する記事や、フォントブログで取り上げた雑誌や雑貨など様々な情報を提供しました。

しかしながら惜しくも2018年に発売された13号が最後となり、ベストアルバム的な特集「タイポグラフィ事典」を以て休刊となりました。

誌面を大幅にリニューアルしたTypography 07の発売のときに、編集長の宮後さんにインタビューをしましたので再掲します。

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—今回リニューアルしたポイントや見どころを教えてください。

2012年に創刊して3年が経ち、タイポグラフィをめぐる状況が変化してきたのがリニューアルの理由です。創刊当時はこのような媒体は珍しかったのですが、現在ではウェブサイトやショップも登場しているので、そうした状況の中でより読者に興味をもって読んでいただけるよう、リニューアルしました。

創刊後3年経って読者の方々にも媒体を認知していただけたので、意図的に演出するのではなく、内容自体をシンプルに見せる編集方針に変更しました。今号からTAKAIYAMA inc. が誌面のアートディレクションを担当し、どのようなページにするのか一緒に相談しながら進めています。

記事の内容もリニューアルしています。まず、巻頭にリラックスして読める短めのコラムを入れ、本編となる特集部分では写真を使ったグラフィカルな表現にしています。連載部分は専門家に原稿を依頼し、より専門的な内容を目指しました。

—誌面のデザインがどことなくすっきりした印象がありますが、これまでと比べてどのような点が変わったのでしょうか。

書体をしっかり見せようとすると白黒のページが多くなってしまうので、以前はあえて色を多めに使っていました。以前は、退屈しないよう色で変化をつけ、初心者にも楽しく読んでもらえるよう心がけていましたが、今号からは白地を中心にして写真や書体が引き立つような見せ方を心がけています。

本文とキャプションの書体は、本誌の目次にも記載がありますが、こぶりなゴシック W3+Atlas Grotesk (Commercial Type)と、筑紫明朝 RB (FONTWORKS)+Williams Caslon Text Regular (Font Bureau) を使用しています。

—なぜ今号 (Typography 07) は文字の原点とも言える「活字」の特集なのでしょうか?

データから樹脂版をつくって活版印刷をする印刷所はあるのですが、活字を組んで印刷できる印刷所はかなり減ってきているのが現状です。このような状況をただながめているのではなく、実際に活版印刷を依頼していただくことによって、産業として残していきたいと思ったからです。

面識のない活版印刷所にいきなりお願いしに行くのはハードルが高いという方もいらっしゃるので、活版印刷の現場を伝える写真や、各印刷所で所有している活字書体の見本とリストも掲載しました。この雑誌をご覧になって、活版印刷を少しでも身近に感じていただければうれしいです。

—雑誌のロゴタイトル「Typography」が大文字のみの並びでは無くなりましたが、理由はあるのでしょうか?

これまでの号では途中で改行して2行にしていたので、すべて大文字にしていました。しかし、2行に分けるのは不自然であること、大文字だけだと重たく見えることなどから、リニューアルにあわせて1行組の大文字小文字表記に変更しました。また「ロゴは1行で」という話は02号の小林 章さんの解説ページ(P55)で言及があります。

—ちなみに、ロゴタイトルに使われている書体名は何でしょうか?誰がなぜこの書体を選んだのでしょうか。

ロゴは、LinetoというタイプファンダリーのBrown(03号 P61参照)という書体で、本誌のデザイナーさんが選びました。Futuraのようにかちっとした感じではなく、少し力が抜けたような雰囲気にしたかったそうです。また“a”の部分は、Brownの異体字を用いているとのことです。

—今後のTypography誌の展開や野望などありましたら是非お願いします。

今後もずっと刊行し続けていきたいですね。あと海外版を出したいです。海外の出版社と提携して、日本語以外の言語にも翻訳できたら最高ですね。海外版のオファーをお待ちしています!

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バックナンバーなどの情報はタイポグラフィ誌の公式サイトをご覧ください。

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タイポグラフィ13 タイポグラフィ事典

文字を楽しむデザインジャーナル『Typography(タイポグラフィ)』の13号。 特集は「タイポグラフィ事典」。今までに掲載した手書き文字、フォント、組版など40 項目を事典形式で紹介した永久保存版です。

初稿:2015.5.11