地書:從點到點 — 言葉が一切書かれていない“絵文字”だけの本

2023.11.2

2012年に初めて香港へ訪れたときに買った本。なのですが、もはや記憶が薄れていて、どこで買ったのか分からなくなってしまっています。おそらく誠品書店だったような気が。本というよりは、ある企画展の冊子かも?

本を開くと、ピクトグラムや絵文字、あるいはどこかその辺で撮影したようなイラストを繋げて、読み物の本として構成されています。読者はこの絵文字を解読して話を進めていきます。

当然ながら頭の中で絵文字の意味や前後関係を判断しなければならないので、文字で読むときと比べると、格段にスピードが遅くなります。しかしながら、まるで暗号を解いているような感じで、意味がわかったときに妙な喜びがあります。

例えばこのページを解読してみると…

帰宅して台所へ行き、コーヒーメーカーのスイッチを入れてコーヒーを用意。コンロを添加してフライパンを温め、卵とベーコンでベーコンエッグを作り、パンをフライパンで温める(?)、しばらくしてコーヒーを飲む。ラジオのスイッチを入れて天気予報を聞く。雨から晴れになるが、再び雨が降って気温が下がる。傘が必要かも?と考える。

のような感じでしょうか。

中にはマリオやテトリス、アングリーバードなどのゲームのドット絵が出てくる話もあり、思わずニヤリとしてしまいます。

この本に文字は一切出てこないのですが、唯一奥付にはクレジットが記載されています。といっても必要最低限の情報のみ。QRコードを読み取ると、この本の詳細が分かりました。

中国語(繁体字)で書かれていたので翻訳にかけてみると、なんと作者は中国人アーティストの徐冰 (Xu Bing) さんで、過去には日本でも同じ展示を行ったことがあるようでした。

そしてこの本については、

《地書:從點到點》是一本無“字”的讀物,它在哪裏出版都不用翻譯,它對任何文化、教育背景的讀者都是平等的。

この本は、言葉のない本であり、どこで出版されても翻訳の必要がなく、あらゆる文化的、教育的背景を持つ読者に平等です。

と書かれていました。なるほど。たしかに絵文字だけであれば、翻訳の必要がなく、言葉が分からなくても理解できますね。

例えるなら、外国人観光客向けに「お手を触れないでください」と伝えたい場合、英語だとDo not touch.でいいとして、比率的に多い中国語・韓国語も加えて、さらに最近多いフランス人向けにフランス語、ドイツ人向けにドイツ語も…などと増やしていくと、文字だらけになってしまい、触らないでと伝えたいだけなのに見た目が煩雑になってしまう。

これを解決するにはどうすれば良いか?ずばり“絵”だけで表せば良い。手のピクトグラムに赤の斜め線を載せるだけ。文字は要らない。