2023〜2024年前半で読んだおすすめの小説10選

2024.3.5

ここ最近は就寝前の読書が習慣になっています。私自身、学生のころは本(活字)を読むことがとにかく苦手で、現代文の成績も好ましくなかったのですが、大人になってからは苦手どころか趣味の1つになるぐらいに読書が好きになりました。

とりわけ本屋大賞このミステリーがすごい!(このミス)で選書されている本を中心に読み漁っています。個人的に直木賞・芥川賞の本は少しとっつきにくい印象があるのですが、本屋大賞とこのミスは一般人目線で純粋に読みやすい本が選ばれていてるため、何か読みたいけど、何を読んでいいか分からない人におすすめ。

以前は電子書籍で購入をすることが多かったのですが、最近は紙で読んでいます。普段ウェブ制作(ホームページ制作)の仕事はディスプレイとにらめっこなので、紙の本で読むことで気持ち的にもオンオフのメリハリがついています。

2023年〜2024年前半にかけて読んだ本の中から、特に印象に残ったおすすめの小説を紹介します。

1. 黄色い家

本記事の執筆時点で2024年の本屋大賞にノミネートされていて、個人的に応援している一冊です。自分自身が“黄色い家”にいるような感覚に陥るぐらい没頭して読みふけました。登場人物それぞれが今を生き抜くための心情がしっかりと伝わってきて、読後はどこか切なく辛い気持ちになり、登場人物のことを思い出してしまう。それぞれのサイドストーリーがあればぜひ読んでみたいです。

2. 汝、星のごとく

2023年本屋大賞に選ばれ、他にも数々の受賞がある感動の最高傑作。恥ずかしながら作者の凪良 ゆうさんをこの本で初めて知ったのですが、心の奥深くにある人の微妙な気持ちや感情を文章で表現するのが本当に上手です。ストーリーとして「大人の恋愛話」ということで一本筋が通っていますが、人生観を考えるきっかけにもなりました。続編『星を編む』も読んでみたいです。

3. 世界でいちばん透きとおった物語

最近目にすることが増えた“電子書籍化不可能”本。確かに紙の本でしか実現できない見事なワザで、思わず読後に感心してしまいました。話の中で実在する京極 夏彦さんが登場するので、感のいい人は気づくかも?(私は最後まで気づかなかった)話の内容についても、まさに“透きとおった物語”で感動しました。

4. 逆転美人

こちらも“電子書籍化不可能”本。こちらも紙の本でしか実現できない驚きの仕掛けでびっくり仰天。これは1冊の本にするのは大変だったろうなぁと察してしまいました。話のほうも「自分は美人」という事実からテンポよくストーリーが進んでいき、一気に読んでしまいました。電子書籍化不可能本では無いですが、同じ作者の姉妹作『逆転泥棒』もおすすめです。

5. 誰が勇者を殺したか

ライトノベルの分野で話題になっていた本。本のタイトルにある“勇者”という言葉から連想される通り、ドラゴンクエスト(ドラクエ)を知っている人なら、理解しやすい内容ですね。とりわけドラクエ3が登場人物的に近い印象。章ごとに登場人物が入れ替わり、同じ時系列で話が展開していくのでとても読みやすく、ミステリー作品としてのオチも良かったです。こういうRPGゲームがあればやってみたいです。

6. ファラオの密室

このミス2024の大賞受賞作というだけでなく、エジプトへ旅行した身としては、読まずにはいられなかった本作。エジプトが舞台の小説はあまりなく、タイムリミットもある中、いつもとは違うハラハラ・ドキドキ感を楽しむことができました。

7. エレファントヘッド

ミステリー小説のジャンルではあるものの、ハードボイルドかつぶっ飛びすぎていて、個人的に良い意味でついていくことができなかった迷作。グロ表現が多いので好みが分かれそうではありますが、この作者さんの頭の中、どうなってるんだと心配になったほど。この本に限ってはスピード感も大事で、一気に読まないとダメです。

8. 頬に哀しみを刻め

このミス2024の海外編で1位だったので読んでみました。分かりやすいクライム・サスペンスとなっていて、このまま映画化されそうな、いやむしろ映画が小説になったような情景が目に浮かぶストーリーでした。ゲームクリエーター小島秀夫さんも推しの一冊です。

9. 天路の旅人

不朽の名作『深夜特急』で有名な沢木 耕太郎さんの作品で、戦中に密偵として潜伏していた人物を描いたノンフィクション旅小説。こんなすごい人が実在していたと知って思わず脱帽。深夜特急が好きな人には間違いなくおすすめ。

10. 街とその不確かな壁

最後はこの1冊を。村上 春樹さんの本は大好きで長編小説の新作が出ると必ず読んでいます。コロナ時代に執筆された本作は、私の大好きな『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の内容を彷彿させ、まさに壁からコロナ時代の“閉塞感”を感じました。この独特で不思議な世界観は村上春樹さんならでは。また数年後に読み返したいです。