正解は無い?悩ましいウェブ・アプリのデザイン方法

2023.7.3

昔からウェブやアプリには様々な方法があり、そのデザインデータについては業界や案件によって異なるのが現状。あるアンケート結果によると、2023年6月の時点では以下の結果になっているそうです。

デザインデータの受け渡しが多い広告業界はAdobe系が必須

私自身は普段どうしているのかと言うと、広告系案件が多く、印刷物や映像などの様々なメディアの素材を流用してウェブを作ることが多いため、どちらかと言うとAdobe系のデータでやり取りすることが多いです。例えばIllustratorで作られたチラシやポスターのデータを受け取り、パーツを抽出したり加工したりしながら、Photoshop(あるいはXD)上で配置をしてデザインイメージを作ります。
受け取るだけでなく、逆にウェブデザインのデータを印刷物や映像などに流用するために他所へ「渡す」機会も多いので、Adobe系のデータでないと都合が悪いという理由もあります。

グラフィックデザイナーはIllustratorでデザイン

グラフィックデザイナーからの依頼でコーディングのみ受けることもありますが、大抵の場合はIllustratorでデータが支給されることが多いです。正直なところIllustratorデータからのコーディングは様々な面で苦労が多く、私自身Illustratorでウェブやアプリをデザインすることは無いですが、グラフィックデザイナーはIllustratorに慣れているため仕方がないと言えます。
PhotoshopやIllustratorでウェブデザイン=時代遅れとの主張も多いですが、Adobeが制作ソフトの圧倒的なシェアを持っているため、潜在的にはまだまだ割合が多いはずです。

飛躍的な進化を遂げる注目のFigma まだ1つでは完結できない

今注目のFigmaは日進月歩で進化を遂げていて、ウェブやアプリ制作に必要な機能が備わっています。特にページ遷移を表現する場合や、ページ数が多い大規模サイトを制作する場合において非常に便利です。複数人のデザイナーやエンジニアとチームで作業をする場合の機能もばっちり備わっています。

しかしながら、私自身がPhotoshopやIllustratorに慣れているということも大きいが、デザインの加工作業をする際にはPhotoshopやIllustratorに軍配が上がります。Figmaだけで同じことを行おうとすると、結局PhotoshopやIllustratorを介して別で用意したり、配置をしたりするなど、逆に面倒になってしまい、その作業が面倒になってFigmaで作ったデザインが、Figmaでできる範囲のシンプルになってしまうことも。

デザインのトーンマナーを早めに決めてコーディングで確認

自分でデザインをして、自分自身がコーディングもする場合は、HTMLやCSSでコードを書けば一発で表現できるようなことを、わざわざソフト側であれやこれやと複雑な設定をするのが面倒なので、Figma側で作り込むようなことはしないことが多いです。それにFigmaだけではUIや動き、制御などの表現をすべて表現することはできないし、Figmaで作ったものをコーディングで完全に再現するのは大変です。そのため早めに基本的なデザインの確認を取り、コーディングで実物確認をするようにしています。

AdobeのFigmaはどうなる?

Adobeが競合だったFigmaを買収して以降、まだ方針が決まっておらず、XDも突如開発を終了してしまっており先行きが不透明のままです(2023年7月時点)。Creative CloudのラインアップにFigmaに加わるのか、PhotoshopやIllustratorとはどのような連係が図られるのか、誰もが気になっているところです。
上述の通り、FigmaにPhotoshopやIllustratorの機能がある、もしくはストレスフリーでシームレスな連係ができるのであれば、間違いなくウェブ・アプリのデザインツールのスタンダードになると思います。

自由度が高いウェブ・アプリのデザイン

印刷物はIllustratorやInDesign、映像はPremireやFinal Cut Proなど、特定のソフトが必要になってきますが、元来ウェブやアプリの制作においては、特定のソフトに囚われることなく、様々な方法で制作できる自由さがあります。それこそテキストエディタさえあれば、コーディングをしながらデザインをすることも可能です。実際予算や時間が無いときときは、いきなりコーディングをすることも多いです。今後Figmaがスタンダードになることは間違いないとしても、引き続き様々な方法で対応できるほうが強いと思います。

詰まるところこんな記事を書いて何を言いたかったかと言うと、Adobeさんには、あれだけ盛り上げておいたXDを簡単に葬らないで欲しかったということ。XDのセミナーや本に関わっていた人のことを思うと気の毒すぎる。買収したFigmaをどうするのか、早めに方針を決めて欲しいところです。