地元民が伝える飛騨高山生活のリアル

飛騨高山は観光地として名高く、周りからは「良いところに住んでいますね〜」と言われがちですが、実際のところ飛騨高山はどんなところなのか。地元民はどう生活して、どう考えているのか。様々な観点から思うところを書き出してみました。
※観光PRも兼ねているので、掲載写真は飛騨高山観光サイトのフォトライブラリーより拝借

四方八方を荘厳な山々に囲まれた国際観光都市

360°ぐるっと回って見渡す限り北アルプス3,000m級の自然豊かな山々に囲まれています。別の言い方をすれば、高い塀に閉じ込められているような感じです。そのため、どこか遠出をするとなると、一山、二山を越えないと外界には出られません。標高(海抜)は市街地であっても500〜600mあり、山間部だと3,000m近くにもなり、同じ市内であっても場所によって標高差が激しい。この標高差・気温差に慣れず、関東育ちの妻は体調を崩してしまったこともあります。

ミシュランで三つ星を獲得したこともあり、外国人観光客、とりわけ欧米からの観光客が多いのが特長です。市内の住民は観光客慣れをしていて、英語を話せる人も多いです。また市内は京都のように混雑しておらず、バスを使わなくても徒歩圏内で観光できるため、研修旅行や修学旅行としても人気があります。空気が澄んでいて、治安も良く、食べ物も美味しいので、ゆっくりのんびり散策をして過ごすことができます。また飛騨はアニメ「君の名は。」や「氷菓」の聖地でもあります。

天気が良い日は街中からも山々を見渡せる

日本で一番面積が広い市

平成の大合併によって高山市は日本で一番面積が広い市となりました。全体の面積は大阪府や香川県、東京都よりも大きいです。高山市のニュースが話題になり、遠くに住む友人から「高山市で◯◯があったみたいだけど大丈夫?」などと言われても、遠く離れた地域の話だと実感が全く無いことも多く、天気予報についても、高山市全体に出されている予報は外れることが頻繁にあります。

高山市の面積を東京都に重ねてみると広大さが分かる

夏はカラっと暑く過ごしやすい

山岳都市でありながら盆地でもあるため、夏はそこそこ気温が高く、35℃近く上がる日も多いです。幸いなのは都市部のようなヒートアイランド現象や湿気でジメジメした感じは無く、暑いだけでカラッとして過ごしやすいこと。暑い夏であってもお盆を過ぎると途端に夜が涼しくなり、窓を開けて寝ると風邪をひいてしまうので注意が必要です。

夏はとても気持ちが良い季節なのでおすすめ

冬は雪 -10℃以下になる日も

一方で冬は極寒の日々、オフシーズンで営業をしないお店も多く、街全体が沈んでいるように見えます。高山市郊外の荘川・六厩は日本で一番寒いとされたこともあり、隣は豪雪地帯として名高い世界遺産の白川郷。冬が厳しいのは北海道や東北だけではないのです。
早ければ11月ぐらいから雪が降り、12月〜2月は降った雪が積もり、道路に積もった雪を片付けなればなりません。雪かきは様々な道具を駆使して老若男女全員が行います。年配の人は朝早くから始めるので、雪かきの音で目が覚めてしまうことも。暗黙の了解で、原則自分の家の前だけやることになっていますが、手伝ってあげたり、手伝ってもらったりして、微妙な駆け引きが行われます。
北陸にあるような道路の融雪設備が無いので、雪かきの雪は近所に流れる小川(溝)に捨てます。雪量が多すぎて処理できない場合は、何日も積み上げたままになってしまい、固まってしまうと処理が難しくなり地獄になります。

雪国の人にとって雪は邪魔な存在だが、東南アジアからの観光客に人気

陸の孤島と揶揄されるが各地からのアクセス手段は豊富

山奥でどこからも遠いため陸の孤島と揶揄されることが多いですが、観光都市ということもあり、意外にも各地からのアクセス手段は豊富です。電車の場合は、JRの特急ワイドビューひだを使って名古屋まで約2時間30分で出られますが、安くて便利かつ運行本数も多い高速バスが人気です。どこへ行くにも遠くてバスの乗車時間も長めですが、乗換なしで座っていれば着くので便利です。

  • 【高山〜新宿】 1日4〜5便・約5時間45分
  • 【高山〜京都・大阪】 1日3便・約5時間40分
  • 【高山〜名古屋】 1日9便・約2時間45分
  • 【高山〜金沢】 1日5便・約2時間15分
  • 【高山〜松本】 1日4便・約2時間20分

車で関東地方へ行く場合は、山岳道を通て松本まで行き、そこから長野自動車道〜中央道で関東方面へ行くのが最短距離となります(高山〜新宿バスもこのルート)。松本〜新宿バスの本数が昼夜多いため、自家用車で松本まで行って、そこからバスに乗り換えて関東へ向かうケースもあります。休日は昔から最寄りの都会である富山や金沢へ遊びに行く人が多いです。

やっと完成した安房トンネル

関東へのアクセスにおいて、大きな転機になったのは、私が高校生のとき1997年に岐阜県と長野県の間に完成した中部縦貫自動車道の区間でもある「安房トンネル(安房峠道路)」。これまでグネグネ山道を時間をかけて越える必要がありましたが、このトンネルの開通で一気に関東が近くなりました。誰もが早期完成を待ちわびていた悲願のトンネルです。
ちなみに福井県から東海北陸自動車道を経由して安房トンネルを経由する中部縦貫自動車道がすべて完成すれば、高速道路一本で関東まで行けるようになりますが、我々が生きている間の全線開通は難しそうでです。

安房トンネルの近くにある奥飛騨温泉郷は露天風呂の数が日本No.1

あれが無い、これも無いは解消?

私が小さい頃は、他の地域なら普通にあるはずのモノが本当に無くて、文化的にも隔離されている地域でした。コンビニは地元企業のタイムリーしか無かったです。(後にデイリーヤマザキが買収)

それが今やセブン−イレブンやファミリーマート、ローソンが普通にあるし、マクドナルドや吉野家などの牛丼チェーン、回転寿司チェーン、ミスタードーナツやドトールもあります。ここ最近も県外から続々と色々なモノが進出しており、一般的な地方都市と大差が無くなってきました。特に大手コンビニの進出は文化的な開国を決定づけた気がします。

個人的に欲を言えば、昔はあったが無くなってしまったケンタッキーと大手宅配ピザチェーンが欲しい。そしてイオンモールやカルディが近くに欲しいです。最寄りの映画館は、隣接する富山県まで行かないといけないのがつらいところ。あと関東在住時に使っていたメガバンク(三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行)の支店はおろかATMすら無くて困りました。メガバンクなのに日本全国にあるとは限らないようですね。

以上、多少の思い出話や愚痴も出てしまいましたが、心のふるさと 飛騨高山へぜひ遊びに来てくださいね。

Uターンすることになったきっかけについては、別記事「飛騨高山へUターンすると決めたときに考えた6つのこと」をご覧ください。