前回の記事「買ってよかった!現場で役に立ったウェブ制作の技術書(2023年〜2024年前半)」以降で、現場で役に立ったり、知識を養うことができたりした本を紹介いたします。ウェブ制作の現場は技術の進化が早く、追いつくのが大変ではありますが、このような技術書として1冊にまとまっていると助かりますね。ディスプレイから離れて紙の本を読むという行為が、気分転換や休憩にもなります。
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作って学ぶFigma入門[完全版] ステップ・バイ・ステップで身につくWeb/UIデザインの基本
ウェブデザインやアプリデザインなどUI全般のデザインツールとして不動の地位にあるFigma。毎回のアップデートで機能はもちろんユーザーインターフェイスも変更があるため追いつくのが大変ですね。そんなこともありFigmaの技術書は数が少ない印象があり、現時点で最新の情報を網羅されているのが本書のみとなっています。
私自身普段の業務においてFigmaを使うことがありますが、一方で使わないことも多いため、「あれ?あの機能ってどうやってやるんだっけ?」と忘れてしまうこともあります。そんなとき基本をおさえた1冊が手元にあると安心します。Figmaはオートレイアウト、コンポーネント、バリアント、バリアブルさえ使いこなせれば脱初心者です。
UIデザインのアイデア帳 アプリ・Web制作の現場で使える 基本+実践ノウハウ83
まさにグラフィックデザインとウェブやアプリのUIデザインの違いが明確に分かる本。UIデザインする上でのヒントやTipsが項目ごとに簡潔にまとまっているので、スキマ時間でパラパラと読むのにちょうど良いです。
実際、書かれている内容は初学者向けで、現場でバリバリの方にとったら当たり前の内容かもしれませんが、なぜこのUIが良いのか、逆にどんなデメリットがあるのかということは、意外と忘れてしまいがちですし、知見の少ないクライアント等に言葉でエビデンスを伝えるのは難しかったりします。この本を手元において、常に初心を忘れないようにしたいです。
見えにくい、読みにくい「困った!」を解決するデザイン【改訂版】
グラフィックデザインはもちろんウェブやアプリのUIデザインの分野においても欠かすことができないアクセシビリティに関するデザインの指南書。学術的な知見が多いこともあり、どうしても難しくなりがちな分野ではありますが、よくある実例を基に、どこが良くないのか、デザインの力でどのように解決できるのかを、登場人物を交えながら分かりやすくまとまっています。
日本人男性の5%はいるとされる色弱の方への対応については特に勉強になりました。デザインが誰でもできる時代になったからこそ、プロとしてこのような理論や知識を持ち合わせ、万人向けのデザインをするときは常に意識しておきたいです。
モダンHTML&CSS 現場の新標準ガイド
HTMLやCSSの技術書は数多くあれど、この本は一歩抜きん出てた上級者向けの内容となっています。単なるHTMLやCSSのコード参考書ではなく、突っ込んだところまで論理的に詳しく解説しているあたりが、さすがエビスコムさんといったところ。使ったことがない、むしろ知らなかった内容ばかりで目に鱗でした。
近年、特にInternet Explorerが検証ブラウザの対象外になった頃から、CSSでできることが一気に増えました。カスタム変数や関数、分岐処理などが行えるため、JavaScriptを使わなくてもCSSだけで完結できるようになり、単に「これをこうする」だけの対だけだったCSSの難易度が一気に上がったのではないでしょうか。まだまだ対応ブラウザが完全ではないので、本書に書かれている内容のすべてを使うのは難しいですが、便利なものは少しずつ取り入れていくなど、時代に合わせたCSS設計の必要性を感じました。
欧文書体 基礎知識と使い方
Monotypeのタイプディレクター小林 章さんの大ベストセラー「欧文書体」「欧文書体2」が20年ぶりに全面改定されました。私自身、欧文書体大好き人間だったので(もちろん今も)、何度も何度も読み返した思い出深い本です。
近年日本にはたくさんの外国人観光客が訪れるようになりました。私の住む飛騨高山も、とりわけ欧米からの観光客が多いことで有名です。様々な制作物の中で、欧文を恥の無いよう正しく使えるよう改めて勉強をしたいと思います。