2026年前半で読んだおすすめの小説6選

2026.8.3

趣味のひとつである読書記録が、すっかり止まってしまっていました。

相変わらず、夜寝る前に心を落ち着かせる習慣として読書を続けています。前回の記事からかなり時間が空いてしまい、その間にもたくさんの本を読みましたが、今回はその中でも、時間が経った今でも特に印象に残っている作品を紹介したいと思います。

1. 夏帆 The Tale of KAHO

待っていました。村上春樹さんの前作『街とその不確かな壁』以来となる長編新作です。発売日に購入し、気づけば2日で一気に読み終えてしまいました。

読後に身内から「どんな話だったの?」と聞かれ、一通りあらすじを説明してみたのですが、自分でも笑ってしまうほど不思議で、むしろ変すぎる世界観。話を聞いていた相手も終始キョトンとしていました。それだけ自分が村上春樹ワールドにどっぷり浸かっていたのだと実感しました。好き嫌いが分かれる作風だとは思いますが、この唯一無二の世界観は村上春樹さんにしか描けません。私はやはり大好きです。

2. ファイア・ドーム

TVCMが流れるほど大々的にプロモーションされていた話題作です。ベストセラー『傲慢と善良』の存在は知っていたものの、実は辻村深月さんの作品を読むのはこの『ファイア・ドーム』が初めてでした。下巻合わせて800ページ近い大作ですが、読み始めると止まらず、あっという間に読了。

何か事件が起きると、人は無意識のうちに勝手な「噂」を広めてしまうものです。「〜らしいよ」「〜だって聞いたよ」そんな何気ない一言が、いつの間にか独り歩きし、真実を少しずつ歪めてしまう。規模の大小はあれど、こうした出来事は身近でもよくありますね。辻村深月さんは、人間の些細な感情の揺れや機微を描くのが本当に巧みな作家だと感じました。

3. 盲目的な恋と友情

『ファイア・ドーム』を読み終えた勢いで手に取った辻村深月さんの作品です。ある文芸誌で紹介されているのを見て気になり、読んでみました。代表作というよりは、やや隠れた名作なのかもしれませんが、個人的にはかなり衝撃を受けた一冊です。

性格の異なる3人の女性が登場するのですが、「こういう人、クラスにいたな」と思わされるほどリアル。あまり大きな主語で語りたくはありませんが、友情や恋愛、そしてその裏側にある嫉妬がとても繊細に描かれていて、「うわぁ……」と思わず唸るような展開が続きます。読後もしばらく余韻が残る作品でした。

4. イン・ザ・メガチャーチ

2026年の本屋大賞を受賞した朝井リョウさんの一作です。テーマは、まさに今の時代を象徴する「推し活」。推す側と推される側、その両方の心理描写が驚くほどリアルで、現代社会への風刺として読むこともできます。推し活の度合いは人それぞれですが、多かれ少なかれ、誰もが何かしら「推している」ものを持っているはず。そんな自分自身を客観的に見つめ直すきっかけにもなった作品です。

5. タタール人の砂漠

どこで知ったのかはもう覚えていませんが、ネットで誰かがおすすめしているのを見かけたのがきっかけでした。その後、一時期品薄になっていてなかなか手に入らなかったことだけはよく覚えています。1940年に刊行されたイタリア文学で、現在では古典文学として位置づけられている作品です。

何かが起こるかもしれない——。そんな期待を抱きながらも、その「何か」はなかなか訪れず、ただ時間だけが過ぎていく。最初から何も起こらないと分かっていたなら、別の生き方もできたのではないか。けれど人生はそう単純ではない。そんなことを静かに考えさせられる作品でした。

これまで読んできた小説の中でも群を抜いて異質で、何とも言葉にしがたい空気感があります。もう少し年齢を重ねてから読み返せば、きっと違った印象を受けるのだろうと思い、今でも本棚に残している一冊です。

6. 大地

こちらもネットで知った作品で、1953年刊行の古典的名作です。西洋人の視点から描かれた中国の年代記で、古い小説ではありますが、新装版の文庫版が全4巻出ています。親子三代にわたる物語の中で、戦争、土地、お金をめぐるさまざまな人間ドラマが壮大なスケールで描かれています。

翻訳の素晴らしさもあってか、古典とは思えないほど読みやすく、まるで現代小説を読んでいるような感覚でした。ケン・フォレットの『大聖堂』シリーズを思わせる読み応えがあり、ページをめくる手が止まらない作品です。

こうして振り返ってみると、最近は『人間の心理』や『人生そのもの』を深く描いた作品に惹かれることが多かったようです。また印象に残る本が増えたら、読書記録としてまとめたいと思います。